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2010年11月 6日 (土)

№1028 10月に読んだ本

 毎月読んだ本の報告をしているが、だんだんボケてきているせいか、月初めに読んだ本の内容はほとんど覚えていない。読んだらメモでもしていると良いのだろうがね。

 10月は12冊、4408ページの本を読んだ。この3カ月ばかりは、1日150ページ前後と安定した読書量になっている。自分の日常生活に中で、本を読む時間が安定してきた証拠なのかもしれない。しかし、これが手を抜くと、毎日があっという間に過ぎ去ってしまうので用心が大事だ。

Pa170058  今月一番印象に残ったのが、なかにし礼【赤い月(上)(下)】(新潮社)だ。なかにしは、一時流行歌の作詞家として名をなしていた。しかし、彼の小説は、なかなかテーマもどっしりしているし、読み応えがある。

 今回の【赤い月】は、終戦前後の満州引き揚げのどさくさで、満州にいた人々がどれだけ苦労したのかを一般民衆の立場で書いた小説だ。満州にいた一般の人には、戦争に負けるなどは寝耳に水だったようだ。さらに、ロシア軍の怒涛の攻め、中国人の略奪になすすべを持たないで右往左往する人々の苦渋がよく書かれていた。戦争に負けると分かっていち早く逃げたのが軍人家族と官僚だった、と怒りを込めて描かれている。

Pa170055  佐伯一麦『鉄塔家族』は、547頁と読み応えのある小説だった。今まで、あまり佐伯の小説を読んでいるわけでもない。本書は2004年の大仏賞受賞作品というので手に取ってみた。自伝的な小説なのだろうけど、日常を淡々と描いていて、別に話に山も谷もあるわけではない。何でこの小説が大仏賞だったのだろうか、印象の薄い小説だった。

 まあ、それでもしばらく佐伯の小説を追いかけてみよう。

Pa170056  藤田宜永『老猿』は、不思議な小説だった。藤田は軽井沢に住んでいる。奥さんも小説家で、小池真理子だ。彼の小説が軽井沢を舞台にすることが多い。夫婦で軽井沢に住んでいるせいなのだろう。

 話は面白かった。軽井沢の別荘には、女房と別れた男が余儀なく住んでいた。その隣には、「老猿」と主人公があだ名で呼んでいる老人の住まいだ。向かいには経営者の愛人の中国人女性が住んでいて、石の彫刻に励んでいる。

 この小説は、この3人が織りなすドラマだ。シチュエーションといい、話の展開といい、大変面白く読めた。藤田は恋愛小説家かと思っていたが、別の側面も覗かせてくれる。今後も注目して良い小説家だ。

Pa150003  三田誠広『空海』を読んだが、何か同じような話を読んだ記憶がある。じっと考えてみたら、司馬遼太郎『空海の風景』を2008年4月に読んでいた。

 奈良時代、四国の地で生まれ育った稀有な天才空海の奈良から平安時代に移る激動の時代の活躍、中国に遣唐使の留学僧として派遣され、かの地で目をみはるばかりの活動などを読むにつけても、大変は人だったことがよくわかった。

Pa170059  最後になって申し訳ないが、山本紀久雄氏から恵贈された『世界の牡蠣事情2005-2010』も面白く読ませていただいた。山本氏は、2003年に『フランスを救った日本の牡蠣』という著作もあるようだ。

 本書を読む限り、山本氏がなぜ牡蠣に興味を持ち、世界中を飛び回っているのか、その事情は分からないが、牡蠣は世界共通の上質な食べ物だということがよくわかる。

 牡蠣の養殖場を訪ねながら、その都市の街歩きの話が面白かった。日本の中で、牡蠣の世界事情を研究している方というのは多いのだろうか?寡聞にしてあまり聞かない。

 牡蠣の養殖の事情調査で、パリ・アイルランド・イタリア・スペイン・ロンドン・アメリカ・カナダ・ブラジル・チリ・オーストラリア・中国・台湾・香港・韓国の各国を回った様子が丁寧に描かれている。そして最後が、なぜかは分からなかったが、日本の播磨灘の牡蠣だった。

 日本にも有名な牡蠣の産地はたくさんあるが、播磨灘の牡蠣は初めて聞く話だった。しかし、大変面白く読めた。本来は早速お礼も兼ねた感想を著者に送るのが礼儀だろうが、この記事で代弁させていただけないだろうか。

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